17世紀から19世紀の江戸時代
大都市になった江戸の町には、ものを大切につかう精神が根付き、何でも再利用して使うリサイクルのしくみがありました。
江戸が理想の環境型社会といわれる理由は何だと思う?
リサイクルを江戸時代からしていたなんて知らなかったピヨ!
何でも再利用してつかう「リサイクルのしくみ」について、現代では問題視される「ゴミ問題」について
環境に優しい江戸の生活を調べてみたいと思います。
江戸が理想の循環型社会と言われた理由は?
江戸時代の終わり頃、江戸をおとずれた外国人は、町が清潔なことにおどろきました。100万人以上の人口があるのに、道にはゴミがなく、川も美しかったからです。
その理由のひとつは、もともとものが少ないうえ、人々がものを大事につかい、知恵をしぼってとことん再活用したことにありました。
リサイクルは徹底して行われました。また、日常生活で使われていたものはみな自然素材だったので、最後は土にかえったこともゴミが少ない理由です。
着物は高価だったので、庶民は古着を買って着ていました。着物は古くなると色を染め直したり、やぶれたところをつくろい、仕立て直して着ていました。そして、最後はぞうきんとして利用していたのです。
江戸の町には4000軒もの古着商がいたんだピヨ
割れた茶わんや、底がぬけた鍋などの道具も、捨てずに修理してつかうのがあたりまえでした。町には修理を専門にするいろいろな職人の店や、町でこわれたものを買いあつめ、修理してふたたび売る商売もありました。
このため、江戸は理想的な循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)だったといわれます。
そのもとになっていたのは、人々の「もったいない」という気持ちでした。
人口100万人の都市にゴミ問題はなかったのか?
人口100万人の都市に、ゴミ問題はなかったのだろうか?
現代でもゴミ問題は社会問題となっているのに、江戸時代はどうだったんだピヨ
江戸には、家いえから出るゴミを処理するシステムがありました。
幕府がひらかれて間もないころは、ゴミは川や堀に捨てられていたため、町が不潔になってしまいました。
そこで、ゴミをあつめて隅田川の河口にある永代島に捨てるゴミ処理方法が考案されました。
家のゴミは、町の共同のゴミために捨てられました。大きな穴を板でかこんだようなゴミためです。そのゴミは、さらに大きなゴミためにあつめられ、そこから船で永代島にはこばれ、江戸湾の埋め立てに利用されました。
つまり、ゴミも江戸の町の領域を広げるのに役立っていたのです。
トイレの糞尿は、農家の肥料として利用されていました。トイレはくみ取り式だったので、専門の業者が定期的にやってきて、糞尿をくみ取り、水路をつかって船ではこんでいきました。
これは、野菜づくりにかかせない肥料になるので、「糞尿をけいべつすると罰があたる」とまでいわれていました。
はじめのころは、近郊の百姓が野菜と交換するなどして糞尿をあつめていましたが、やがて専門の業者があらわれ、糞尿が商品として取り引きされるまでになりました。
庶民の排泄物は安価で、上流階級の人の排泄物は高価だったそうじゃぞ
さまざまなリサイクル業者たち
江戸時代には1000ものリサイクル屋があったと言われています。物が少なかった江戸時代に、1000というリサイクルの数に驚く程ですが、一体どんな職種があったのでしょう。
それでは主だった職種を紹介します。
古着屋
お店で商売している古着やだけでなく、町を歩いて古着を回収する業者や、古着の仕立て直しをする職人もいました。
流れ買い
ロウソクはとても高価だったので、とけたロウをあつめて、またロウソクをつくりました。
ほうき買い
古いほうきを新品のものと交換しました。あつめた古いほうきは、ほどいて縄を編んだり、タワシにつくり直しました。
古かさ買い
こわれたかさをあつめて、はられていた油紙は、みそや魚をつつむのにつかい、木でできた骨は燃料にしました。
紙くず買い
家いえをまわってつかいおわった紙を買いとったり、道の紙くずをひろいました。紙は紙問屋が買いとり、すき返しの業者に売られ、また新しい紙になりました。
馬糞ひろい
交通に馬が利用されていたので、道には馬の糞が落ちていました。それをひろいあつめて、肥料として売りました。
灰買い
炊事でつかうかまどや、暖房用の火ばちなどにたまった灰は肥料として売られました。
この他にも、こどもがひろってきた物を飴などに交換してくれる商人もいました。
総括
環境にやさしい江戸の生活は、理想の循環型社会を構築していたのじゃな
ものを大切につかう精神は現代人も見直したいことピヨ♪
現代では、「リサイクル」は当たり前になって来ましたが、まだまだ浸透していない部分も世界的に問題視されているように思います。
日本の江戸時代の先人たちから教わる、「ものを大切につかう精神」はぜひとも現代人にも受け継いでほしい思想です。
そして、何でも再利用し商売にする工夫が無駄のない社会を生み出していた江戸時代。
現代でもまずは、身近な町を美しくたもつ工夫を考えていきたいですね。